文 : 鈴木淳史
Thu.9.Jan.2014
小学生の頃、何かで埼玉の話になった時、オカン玲子(66)が放ったひとこと。
「あ~、ダ埼玉ね」
未だに強烈に印象に残っている言葉だ。
数年前から北関東という言葉を意識するようになった。埼玉、栃木、群馬、茨城あたりを指すのだろうか…。何で意識するようになったかと想い返してみれば、日本は広いわけで都会ばかりではないという事に気付いたというか…。だからといって、都会と田舎だけでもない。どっぷり都会でもどっぷり田舎でもない郊外の街たちに、何となく興味を持ったのだ。
学生時代あれだけ興味の無かったテレビ東京系列の田舎や郊外の街をフォーカスした番組も、急に食い入るように観るようになった。で、何で北関東なのかというと、どこか不透明な匂いがするというか、どこか自ら閉鎖せざるをえなくなってるというか…、近年映画で北関東がロケ地になる事が多かったというのもあるかも知れない。
てか、昔から何かしらだだっ広いロケ地を使う時は北関東なのだ。ここで取り上げたドラマも埼玉の山村国際なんていう学校が舞台だし。まぁ、でも今日書きたいポイントはそこではなく、北関東の街の空気について。例えば、ヤンキーが多いであったり、軽犯罪が多いであったり…。茨城が舞台だが個人的に最近だと「NINIFUNI」という映画が興味深くて、まさしくTHE北関東なのだ。先程、閉鎖なんていう言葉を使って、いまいち自分でもピンときてなかったが、つまりは閉塞感がある。そして、独特の土臭さがある…、野菜が名産だからか…、そこは、ようわからん。
意外と距離が近いからこそ、特に埼玉などはそうだが、過剰な東京への憧れもある。埼玉の女子高生が東京の男子高生を漁る的な意味も含め。おかしみとかなしみというか…。
去年、仕事で遂に埼玉へ初上陸した。結果、二度も。それも、埼玉中心地の皆さんでも「遠い…」とひいてしまう最北端のK市へ…。長年の北関東ウォチャーとしては、駅を降りた瞬間の退廃感が堪らない。取材を終え、夜8時前駅に向かうと駅前すぐの風俗案内所は異様な数の男どもが溢れていて、駅前をケバ過ぎるキャバ嬢が闊歩する。最高な光景過ぎて、唸ってしまう。
東京駅へ向かう為、待合室にいると酔っ払ったおじさんふたりがじゃれている。待合室を出る時、ひとりが僕に「騒がしくて、スミマセン!!」と陽気に挨拶を。「いえいえ、お気になさらず」と言った瞬間、もうひとりが吠えた。
「いざ、キャバクラへ!!」
最高な光景をすぐに更新してくれる北関東…、埼玉という街…。鎌倉のキャバクラに今から行っちゃおうかななんて想いながら、僕は新大阪に向かう為の最終列車に乗り込んだ。おあとがよろしいようで。
追記 埼玉は桶川出身のGOING UNDER GROUND。土臭さを残しつつの甘酸っぱい青春金字塔SONGは、永遠の響き…。