文 : 鈴木玲子

鈴木玲子

鈴木玲子

すずきれいこ●65歳の関西在住主婦。学生運動に参加せず、学食でひとりボブ・ディランを弾き語った青春時代。大学では、フランス文学を専攻。卒業後、'70年の万博でのコンパニオンや海外生活を経て、現在は出来の悪い息子(ライター鈴木淳史)と出身地の芦屋で暮らす。労働後のライブハウス出没率高し。愚息イベント「SUZUDAMA~鈴木魂~」では、フランス語による前説を無理やり4年連続で披露させられている。Twitterは、@reikookanで呟き中。

Wed.17.Oct.2012

2作目は機関銃を持って…

第1回、2回となんとかクリアーと思う間もなく、3回目になってしまいました。連載というのは気疲れするものですね。特に2回目は悲しかったんです。というのも、我が家の編集長がうるさくって。やれ「冗漫だ」、やれ「インパクトがない」等、数々のダメ出し…、へこみました。そんな時に思い出したのが、若い頃によく読んでいたフランソワーズ・サガン。
 1953年、「悲しみよこんにちは」で華々しくデビューした18才。「第2作目は?」という記者の質問に「2作目が機関銃を持って、待たれてるのは知ってるわ」と言い放ったのです。なんと大胆不敵な少女でしょう。そして、2作目の「ある微笑」は、前作を上回廻る出来ばえ。私などは、主人公のリュックに憧れたものです。その後も出すもの、出すものヒット続き。読み耽りましたよ。また朝吹登水子氏の翻訳は、お洒落で小粋。アンニュイという言葉が、日本にお目見えしたのも、その訳のおかげでしょう。最近、芥川賞をとられた朝吹真理子さんは、親戚筋の方だそうですね。
 こうして、2作目を軽々とクリアした代表がサガンなら、2作目が遺作となってしまった作家もいます。やはり、フランス人のレイモン・ラディゲ。ジャン・コクトーにも愛された作家です。生涯に2作しか、残せませんでした。20歳で夭折したのですから。その1作目は、「肉体の悪魔」といいます。出征兵士の妻と年下の少年の恋愛模様を描いた小説。勿論、不謹慎だと猛烈な非難顰蹙を買いました。でも、それをねじ伏せてしまう程の才能。「肉体の悪魔」は、大ヒット。さて、問題の2作目、遺作となる「ドルジェル伯の舞踏会」は、あの三島由紀夫、大岡昇平に「美徳のよろめき」、「武蔵野夫人」を書かせました。20才のラディゲによって、新たに「恋愛心理小説」というジャンルが確立しました。凄い2作目だったのですね。
 栄光への2作目がサガンなら、死への2作目はラディゲでした。私ごときの2回目話から、フランス文学話になりました。これをどこに持って行きたいのか? お察しの通りです。この2人の綺羅星は、誰にも真似の出来ない「型破リヰナ」の生涯を送ったというのが「オチ」でした。

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  20. ▷ Wed.29.May.2013 「KING BROTHERSは不死鳥」
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  22. ▷ Mon.13.May.2013 「日本語”プチ”研修中」
  23. ▷ Wed.1.May.2013 「レッドスニーカーズ×5月6日×シャングリラ」
  24. ▷ Fri.26.Apr.2013 「春の我が家の夕食」
  25. ▷ Fri.19.Apr.2013 「ほめてよ」
  26. ▷ Fri.12.Apr.2013 「離島に暮らす我が姪っ子」
  27. ▷ Sat.6.Apr.2013 「bloodthirsty buchers×KING BROTHERS」
  28. ▷ Fri.29.Mar.2013 「寅!寅!寅!」
  29. ▷ Thu.21.Mar.2013 「とりまきぐるぴ」
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  33. ▷ Mon.25.Feb.2013 「現場後記」
  34. ▷ Sat.16.Feb.2013 「タラモサラータ」
  35. ▷ Wed.13.Feb.2013 「ままぼく」
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  41. ▷ Thu.20.Dec.2012 「心のベスト10第一位は、こんな曲だった~2012年~」
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  53. ▷ Wed.19.Sep.2012 「ランゲージとカルチャー」
  54. ▷ Sat.15.Sep.2012 「モテてんじゃねぇよ!モノ珍しがられてんだよ!」