文 : 鈴木玲子

鈴木玲子

鈴木玲子

すずきれいこ●65歳の関西在住主婦。学生運動に参加せず、学食でひとりボブ・ディランを弾き語った青春時代。大学では、フランス文学を専攻。卒業後、'70年の万博でのコンパニオンや海外生活を経て、現在は出来の悪い息子(ライター鈴木淳史)と出身地の芦屋で暮らす。労働後のライブハウス出没率高し。愚息イベント「SUZUDAMA~鈴木魂~」では、フランス語による前説を無理やり4年連続で披露させられている。Twitterは、@reikookanで呟き中。

Tue.15.Oct.2013

一生忘れられない歌

夏も終わり、10月も中旬…。

人の影もまばらになった砂浜。湖月にささくれだったよしず。かき氷の旗もだらしなく下がっている。

夏の終わりに、想い浮かべる、いつもの情景。

そんな夏の終焉の侘しさをものともせず、猛猛しい程の生命力で花を咲かせ続ける木がある。

濃いピンク、淡いピンク、真っ白の花をつける木。それは夾竹桃。

暑さをエネルギー源にするかの様に深い緑の葉をびっしり繁らせる。その中でも、私は白く咲く夾竹桃に心惹かれる。

昔々、60年近く前、こんな事があった。パラパラ雑誌をめくっていた時、その1頁に譜面を見つけた。そして、歌詞を読んで子供心にもショックを受けた。

「故郷の街 焼かれ、身寄りの骨、埋めし焼土に。今は白い花咲く、ああ許すまじ 原爆を三度許すまじ、原爆を我らの街に」

60年近く前の歌詞を今もこうして覚えている。2番もあった様に思うのだが、さだかでは無い。この詞の中の「白い花」というのを子供だった私は、勝手に白の夾竹桃と思ってしまっていた。

伯母に、こんな事を教えられた事がある。

「夾竹桃はね、火事になった時、幹から水を吹いて火を消すのよ」

この話が焼土と子供心の中で結びついたのだろう。

何十年と、この曲が演奏される事は無く、ずっと聴きたいものだと思っていた。しかし、曲も歌詞も私の頭の中にあるだけ、しかも覚束がないもの。

諦めきれない私は、思いつ付きでヤフーで調べてみた。出ていた、見つけた!

作詞浅田石二氏 作曲木下航二氏

やっと巡り合えた。歌詞は、やはり続きもあった。

「故郷の街」から「故郷の海」、「故郷の空」と続いて「三度許すまじ 原爆を 世界の上に」で終わっている。

譜面は、まだ見つけていない。

19歳からノンポリであり続けた私だが、この曲だけは一生忘れられないメッセージ曲である。

ARCHIVES

  1. ▷ Mon.22.Sep.2014 「僕とテレキャノとロフト。」
  2. ▷ Tue.1.Apr.2014 「ABCラジオの時間。」
  3. ▷ Thu.9.Jan.2014 「たまたま埼玉」
  4. ▷ Wed.8.Jan.2014 「モテキ2014」
  5. ▷ Thu.12.Dec.2013 「冬の終わり~その時、ボクのハートは盗まれた~」
  6. ▷ Tue.3.Dec.2013 「少女A~中で学ぶ~」
  7. ▷ Mon.2.Dec.2013 「SUZUDAMA2013」
  8. ▷ Wed.16.Oct.2013 「Suzudama Times完成」
  9. ▷ Thu.15.Aug.2013 「サマージャム’13」
  10. ▷ Fri.9.Aug.2013 「デラシネ」
  11. ▷ Sun.4.Aug.2013 「8月8日は、『パプアニューグリラ祭』です♪」
  12. ▷ Mon.22.Jul.2013 「ほんまもんのレストラン」
  13. ▷ Thu.18.Jul.2013 「夏にして彼を想う」
  14. ▷ Wed.3.Jul.2013 「めひかりくるり」
  15. ▷ Fri.28.Jun.2013 「ギラギラ輝いていたヒマワリ…」
  16. ▷ Fri.21.Jun.2013 「オカンとピエールさんとマヤカン」
  17. ▷ Thu.13.Jun.2013 「50歳で出逢ったロックンロール」
  18. ▷ Thu.30.May.2013 「5月に捧ぐ」
  19. ▷ Wed.29.May.2013 「KING BROTHERSは不死鳥」
  20. ▷ Thu.16.May.2013 「雑誌広告のウワサの真相」
  21. ▷ Mon.13.May.2013 「日本語”プチ”研修中」
  22. ▷ Wed.1.May.2013 「レッドスニーカーズ×5月6日×シャングリラ」
  23. ▷ Fri.26.Apr.2013 「春の我が家の夕食」
  24. ▷ Fri.19.Apr.2013 「ほめてよ」
  25. ▷ Fri.12.Apr.2013 「離島に暮らす我が姪っ子」
  26. ▷ Sat.6.Apr.2013 「bloodthirsty buchers×KING BROTHERS」
  27. ▷ Fri.29.Mar.2013 「寅!寅!寅!」
  28. ▷ Thu.21.Mar.2013 「とりまきぐるぴ」
  29. ▷ Wed.20.Mar.2013 「太陽の塔」
  30. ▷ Fri.8.Mar.2013 「33」
  31. ▷ Wed.27.Feb.2013 「裏万博閑話」
  32. ▷ Mon.25.Feb.2013 「現場後記」
  33. ▷ Sat.16.Feb.2013 「タラモサラータ」
  34. ▷ Wed.13.Feb.2013 「ままぼく」
  35. ▷ Tue.5.Feb.2013 「ドナルド・キーン」
  36. ▷ Thu.24.Jan.2013 「いじめといじり」
  37. ▷ Thu.17.Jan.2013 「1月17日」
  38. ▷ Thu.10.Jan.2013 「古都からの若き刺客たち~2013年~」
  39. ▷ Thu.27.Dec.2012 「2012 BEST LIVE BAND」
  40. ▷ Thu.20.Dec.2012 「心のベスト10第一位は、こんな曲だった~2012年~」
  41. ▷ Wed.12.Dec.2012 「国境とパスポートと私」
  42. ▷ Wed.5.Dec.2012 「What’s Up, Woody Allen?」
  43. ▷ Wed.28.Nov.2012 「パリへの道中」
  44. ▷ Thu.22.Nov.2012 「後60分…」
  45. ▷ Wed.14.Nov.2012 「ハテナをミキサーにかけて」
  46. ▷ Fri.9.Nov.2012 「耳鼻咽喉科」
  47. ▷ Wed.31.Oct.2012 「”マヤカン”は遠くにありて思うもの」
  48. ▷ Wed.24.Oct.2012 「ライナー&ノーツ」
  49. ▷ Wed.17.Oct.2012 「2作目は機関銃を持って…」
  50. ▷ Wed.10.Oct.2012 「ラーメン!つけ麺!実母そうめん!」
  51. ▷ Wed.3.Oct.2012 「イライラをミキサーにかけて」
  52. ▷ Wed.26.Sep.2012 「そうだ!10月5日金曜日は、梅田クアトロの『SUZUDAMA’12~鈴木魂~ 新座長襲名公演』へ行こう!!」
  53. ▷ Wed.19.Sep.2012 「ランゲージとカルチャー」
  54. ▷ Sat.15.Sep.2012 「モテてんじゃねぇよ!モノ珍しがられてんだよ!」