文 : ペニーレーン24 大槻正志

ペニーレーン24 大槻正志

ペニーレーン24
大槻正志

所属:(株)ウエス ペニーレーン24担当
年齢:来年還暦
体重:約0.1t
経歴:22歳の頃、札幌のタウン誌に載った5Pにわたる「札幌ロックバンドの変遷と現状」の文章が、椎名誠氏の『本の雑誌』で取り上げられ、それを機に当時のロック雑誌『ROCK STEADY』他数社から原稿依頼が届き、舞い上がって”音楽ライター”を名乗ってしまい今日に至る。初のメジャーアーティスト取材は82年、浜田省吾さん。故・尾崎豊氏20歳の誕生日当日インタビューの相手として指名されたことが今も自慢(笑)。今最もインタビューしたい相手は「黒猫チェルシー」の渡辺大知さん(←なんとかして!笑)47歳の頃、当時の全てに嫌気がさし、仕事を全部辞めニートになって引き蘢る。49歳、このままじゃイカン!と思い立ち、何故かママチャリにまたがり日本縦断の旅に出る(笑)。成功。50歳、生まれて初めて「会社員/正社員」となり、今に至る。何事も経験。
将来の夢:後30キロ太ったら「マサコ・ゴージャス」としてデビュー。

nabe

 『鍋』を作っています。

北海道を代表する魚、「鮭」(北海道ではシャケという)を使っているので『鮭鍋』(シャケなべ)→『鮭鍋ぃべぇ〜』(シャケなべいべぇ〜)→シェケナベイベェ〜(shake it up baby)と転ずる(?)ロックな鍋です。
内田裕也さんに食べていただき「ロッケンロール!」と言っていただける日が来るまで作り続けようと思っていますが、ナニカ?(笑)

札幌のライブハウス「ペニーレーン24」です。

最初に作ったのは誰のライブの時なのか、全く記憶は定かじゃないんですが、お弁当の時に温かい汁物があれば喜ぶかな?くらいのノリで時々作っていたのですが、案外評判が良くてね、そんなところにアレが起こりました。

アレ。
2009年10月フジファブリックの志村さんが、あの、あまりブログを書かない志村さんが、2日にわたってペニーレーンでのライブのことを書いてくれ、しかも「鍋」のことまで書いてくれたのでした。
まぁそれまでにも『鍋』のことをブログにUPしてくれたバンドはいたんですけどね、『鍋』を作った僕のことまでも書いてくれた方はいなかったような、、、。なんにせよ、とても有り難く嬉しかったのです。
そこからなんですよね、マストで『鮭鍋ぃべぇ〜』を用意するようになったのは。

その後12月に急逝なされたので、“こうやって喜ぶ人もいるんだから続けてネ”と遺言を残されたような気にもなり、で。
(当時当店のHPトップ一面は一ヶ月間志村さんへの追悼文でした。今も目の前の壁には志村家からいただいた香典返しの『志』や、日記ブログが貼ってあります。忘れませんよ、アナタのこと、絶対に!)

それ以降、ライブで使っていただくいろんなバンドのスタッフさんから「これがいつも楽しみ」と言われたり、マネージャーさんから「ライブ宜しくお願いします。ところでその日もお鍋はありますかね?」と確認電話もらったり、メンバーさんからわざわざお礼の直筆のお手紙なんぞをいただくこともあったり、藤井フミヤさんから「さすがだねぇ。美味いよ、コレ」とのお言葉をいただいたり、ブログを読んだファンの方から作り方を教えて下さいとメールがきたり、「こんなコトしてくれるライブハウスはないですよ〜!」の声に舞い上がっていた(笑)矢先に、今度はアレが起こりました。

アレ、その2。
音楽業界人必読マガジン(?笑)『WHAT’s IN?』2012年3月号の特集ページ『ライブハウスへ行こう!』。
[the pillows]の山中さわおさんと[髭]の須藤寿さんの対談の中で、さわおさんが「ペニーレーンでバイトしてたんだよ、高校生のとき」とカミングアウトしていますが、そのきっかけは高2のさわおクンが「今度ペニーレーンであるBOφWYのライブのチケットが取れなかったんですよね〜」と言うので「じゃあドリンクカウンターでバイトすれば見れるよ?」と言ったことがきっかけだったのですが、まぁそれは置いといて(笑)、いくつかのバンドに『印象に残っているライブハウスは?』というアンケートがあって、最も票を集めたのが『神戸チキンジョージ』さんでした。その理由が「ライブ終了後温かい鍋を作ってくれた。食事までふるまうライブハウスはなかなかないですからね」というものだったのです。チキンジョージさん、やるな!チキンライスを作ることは聞いていたけど鍋もかい!
って、どのバンドもペニーレーンで演ってるハズなのに、「美味しい」と言ってくれていたハズなのに、誰もウチを挙げてくれてない、、、。

あぁ、そーかい、そーかい、そう来るかい。

妬みと嫉みで生きてきたこのワタクシ、このまま手をこまねいていると思ったら大間違いよ!っと、雑誌のこういう企画で票を集めるための悪巧みとしていろいろ始めた2012年でした。
●始めたこと
・楽屋にマンガ本棚〜「巨人の星」から「NANA」から「僕はビートルズ」など。エロ系マンガも少々(笑)。対バンイベントで待ち時間が多い時に好評。
・アイロンなどの無料貸し出し〜かなりの頻度で貸し出し、2度壊れた。つまり好評。
・ホットミルクのポットサービス〜これがあるだけでコーヒーにバリエーションがつけられ、意外な大好評。どこでも真似て下さい。
・フレーバーシロップ〜上とも連動していますが、キャラメルやバニラのコーヒー用シロップや、紅茶用のジンジャーやカモミールなどを。
・ご当地の有名お菓子ケータリング
そして、これはどこもマネできないであろう(マネする気にもならないかもしれんが 笑)「無料マッサージサービス」!
30代に思いつきで取った針灸師免許。死蔵されてきた資格でしたが、あるボーカルさんに施術したところ「声が出やすくなった」と好評。今やマッサージ室も出現し、時には他会場にも出張したり。
●始めたけれどすぐ撤収したもの
・本格的コーヒーサービス
自分で焙煎した珈琲豆に、電動のミルに、専用抽出器。『本格』を目指したがコーヒーの粉は飛び散るわ、紙コップじゃ雰囲気出ないわで、たった2回で「終了!」

これらを始めた直後の昨年3月、『女王蜂』公演。
男性立ち入り禁止で、レコード会社のプロモーターでさえ「僕も入れないんですよぉ」という中、アタシはすんなり楽屋にお呼びがかかったワ(笑)。
「いろいろアリガトウ♥」と言うアヴちゃん、てかアヴ様。話は最近会ったという美輪明宏様のことに。
アタシが「やっぱり美輪さんのことは尊敬する?」と聞くと、「尊敬しているヒマなんかないワ。そんな時間があったらあたしは戦うために自分を鍛えるワ」と一言。
んん、強い。アーティストというより表現者として、あるいは一個人として何かと(アタシはそれを“世間”とか“偏見”に対してと思ったけれど)戦い続ける意思表示のように感じたの。あれほどすごい一言はなかったなぁ、、、。女王蜂様、次なる再生誕を心よりお待ちしております。

こんなことしてんのよ、ウチ。

2013年の当店の指針は「とことんおせっかい〜ウザがられる寸前まで」。
ステージも楽屋も、もっと上の、どこにもないサービスを目指したいと思っています。
4月のペニーレーン初ライブよろしくネ、SPYAIRさん!
また使ってよネ、MUCCさん!
今年もよろしくネ、フラワーカンパニーズさん!
早くこっちに来てネ、ザ50回転ズさん!
心からご来館をお待ちしたい!黒猫チェルシーさん!

そして何より、お客様にはもっと何ができるだろうか?

2013年、ペニーレーンも戦い続けます。