文 : 鈴木淳史
Thu.18.Jul.2013
小沢健二をカバーした歌姫は酷評され、小沢健二をカバーしたアイドルは絶賛される。相変わらず、間違えた小沢健二ファンはサブカル要素があるかないかだけという馬鹿みたいな基準のみで物事を評価する…、つまらない。僕から言えば、どちらもなしだ。別に否定や批判じゃなくて、小沢健二は小沢健二でしかない。
昨年、友人たちから「オザケンのライブ行ってきたよ。行った?」なんていうメールがちらほら届いた。気を遣った後輩は、Tシャツを買ってきてくれる。まぁ、その…、僕世代からしたら最大のポップアイコンだ。
6年前の夏、「『おばさんたちが案内する未来の世界』を見る集い」という集会へ、先輩ライターの北沢夏音さんに誘われて大阪と神戸の2か所に参加が出来た。小沢と後に妻になるエリザベス・コールが主催した集会だ。べネズエラなど南米の国々を題材としたエリザベスが監督のドキュメンタリー映画「おばさんたちが案内する未来の世界」を上映し、その内容について観客各々の意見や感想を述べる。あの小沢健二を…、数十人の中で観れる。それも幸運にも話す事もできる…、不思議な体験だった。
何か現実離れ過ぎて、意外と誰にも話していないのだが、その年の夏、僕は小沢健二から電話をもらった。非通知で昼下がり電話が鳴り、何気に出たら、非常に電波の悪い途切れ途切れの状態。
でも、はっきりと聞こえた…、「小沢です」。
鑑賞会の時に、連絡先を渡していたのだ。次回、鑑賞会がある時に、是非とも芦屋でさせて欲しい、そんな話を交わしていたはずだ。電話は緊張し過ぎていて、あまり詳細を覚えていない。
「『犬』(『犬は吠えるがキャラバンは進む』93年9月発表のソロ1stアルバム)の時と、こないだの映画…、結局、小沢さんのメッセージは変わってなくて嬉しかったです」なんて生意気な事を言って、苦笑されたのだけ何となく覚えている。そして、とにかく外国からの電話で…、とにかく優しかった…、それだけは覚えている。その後、一度メールを交わしただけで、後は普通に3年前のツアーを神戸に観に行った。未だに、夢としか思えない出来事である。
昨年のツアー「東京の街が奏でる」は、その名の通り、東京のみの公演。観ていないから、特に言う事もないのだが、小耳に挟む内容では東京でしかやらない意義のある演奏会のようだ。今の時代的なフリーダウンロードシングルや、高年齢富裕層だけが購入できるベタなベテラン的高価特別盤でなく…、僕は普通のストレートなアルバムを聴きたいし、普通のツアーに行きたい。
とにかく、今の小沢健二の歌が聴きたい。
単なる戯言でしたが…、おあとがよろしいようで。