文 : 鈴木玲子

鈴木玲子

鈴木玲子

すずきれいこ●65歳の関西在住主婦。学生運動に参加せず、学食でひとりボブ・ディランを弾き語った青春時代。大学では、フランス文学を専攻。卒業後、'70年の万博でのコンパニオンや海外生活を経て、現在は出来の悪い息子(ライター鈴木淳史)と出身地の芦屋で暮らす。労働後のライブハウス出没率高し。愚息イベント「SUZUDAMA~鈴木魂~」では、フランス語による前説を無理やり4年連続で披露させられている。Twitterは、@reikookanで呟き中。

Wed.20.Mar.2013

太陽の塔

 3月3日、万博公園での「太陽大感謝祭」。ドラムのPIKA★ちゃんの主催でした。高く組まれたやぐらの上で指揮を取る彼女は、まさしく「卑弥呼」。マーチングバンドのバトンのようなものを掲げ、合図を送り、掛け声をかけ、またドラムを叩く。「原始、女性は太陽であった」…、平塚らいてうの言葉通り。やぐらの後ろ側は、33台のドラムががっちり守ります。ここには、いつものライブハウスでお馴染みのドラマーたちもいますが、いつもとは違う表情。時にはキッと指揮者PIKAちゃんを見上げ、時には心を解き放たれたかの様に満足気な笑みを浮かべ、ドラムを叩き続けていました。やぐらの回りはといえば、沢山の人が思い思いのいでたちで、思い思いの楽器を打ち鳴らし、盆踊りさながらにぐるぐると回っています。みんな笑顔。1時間ちょっと演奏は続きました。お鍋を叩く人もいますし、割った竹を叩く人もいます。そう、この千里は昔、竹薮でした。そんな事も思い出されます。

終了後、若者たちはやりきった表情で、お互いを笑顔で労います。43年前、「人類の進歩と調和」をテーマに開催された万博。進歩も調和も達成できないまま馬齢を重ねた私にも、この若者たちの清々しさは届きました。不覚にも、涙腺がゆるみます。ひとり帰り道、広い万博公園を突っきり、太陽の塔の前に出ました。今まで醜悪にしか思えなかったこの塔も、この日ばかりは何とは無しに「愛らしく」思えました。太陽の塔は少し小さく、そして爺々むさくなっていました。彼も、私を見て、同じように思ったはずです。あれから43年も経って、思いもかけなかった地震に津波に放射能にと三重苦になるとは…、彼のあの大きな目でも見通せなかったでしょう。

1970年、太陽の塔も福島原発も誕生しました。みんな、みんな、年を取ったのです。

ARCHIVES

  1. ▷ Mon.22.Sep.2014 「僕とテレキャノとロフト。」
  2. ▷ Tue.1.Apr.2014 「ABCラジオの時間。」
  3. ▷ Thu.9.Jan.2014 「たまたま埼玉」
  4. ▷ Wed.8.Jan.2014 「モテキ2014」
  5. ▷ Thu.12.Dec.2013 「冬の終わり~その時、ボクのハートは盗まれた~」
  6. ▷ Tue.3.Dec.2013 「少女A~中で学ぶ~」
  7. ▷ Mon.2.Dec.2013 「SUZUDAMA2013」
  8. ▷ Wed.16.Oct.2013 「Suzudama Times完成」
  9. ▷ Tue.15.Oct.2013 「一生忘れられない歌」
  10. ▷ Thu.15.Aug.2013 「サマージャム’13」
  11. ▷ Fri.9.Aug.2013 「デラシネ」
  12. ▷ Sun.4.Aug.2013 「8月8日は、『パプアニューグリラ祭』です♪」
  13. ▷ Mon.22.Jul.2013 「ほんまもんのレストラン」
  14. ▷ Thu.18.Jul.2013 「夏にして彼を想う」
  15. ▷ Wed.3.Jul.2013 「めひかりくるり」
  16. ▷ Fri.28.Jun.2013 「ギラギラ輝いていたヒマワリ…」
  17. ▷ Fri.21.Jun.2013 「オカンとピエールさんとマヤカン」
  18. ▷ Thu.13.Jun.2013 「50歳で出逢ったロックンロール」
  19. ▷ Thu.30.May.2013 「5月に捧ぐ」
  20. ▷ Wed.29.May.2013 「KING BROTHERSは不死鳥」
  21. ▷ Thu.16.May.2013 「雑誌広告のウワサの真相」
  22. ▷ Mon.13.May.2013 「日本語”プチ”研修中」
  23. ▷ Wed.1.May.2013 「レッドスニーカーズ×5月6日×シャングリラ」
  24. ▷ Fri.26.Apr.2013 「春の我が家の夕食」
  25. ▷ Fri.19.Apr.2013 「ほめてよ」
  26. ▷ Fri.12.Apr.2013 「離島に暮らす我が姪っ子」
  27. ▷ Sat.6.Apr.2013 「bloodthirsty buchers×KING BROTHERS」
  28. ▷ Fri.29.Mar.2013 「寅!寅!寅!」
  29. ▷ Thu.21.Mar.2013 「とりまきぐるぴ」
  30. ▷ Fri.8.Mar.2013 「33」
  31. ▷ Wed.27.Feb.2013 「裏万博閑話」
  32. ▷ Mon.25.Feb.2013 「現場後記」
  33. ▷ Sat.16.Feb.2013 「タラモサラータ」
  34. ▷ Wed.13.Feb.2013 「ままぼく」
  35. ▷ Tue.5.Feb.2013 「ドナルド・キーン」
  36. ▷ Thu.24.Jan.2013 「いじめといじり」
  37. ▷ Thu.17.Jan.2013 「1月17日」
  38. ▷ Thu.10.Jan.2013 「古都からの若き刺客たち~2013年~」
  39. ▷ Thu.27.Dec.2012 「2012 BEST LIVE BAND」
  40. ▷ Thu.20.Dec.2012 「心のベスト10第一位は、こんな曲だった~2012年~」
  41. ▷ Wed.12.Dec.2012 「国境とパスポートと私」
  42. ▷ Wed.5.Dec.2012 「What’s Up, Woody Allen?」
  43. ▷ Wed.28.Nov.2012 「パリへの道中」
  44. ▷ Thu.22.Nov.2012 「後60分…」
  45. ▷ Wed.14.Nov.2012 「ハテナをミキサーにかけて」
  46. ▷ Fri.9.Nov.2012 「耳鼻咽喉科」
  47. ▷ Wed.31.Oct.2012 「”マヤカン”は遠くにありて思うもの」
  48. ▷ Wed.24.Oct.2012 「ライナー&ノーツ」
  49. ▷ Wed.17.Oct.2012 「2作目は機関銃を持って…」
  50. ▷ Wed.10.Oct.2012 「ラーメン!つけ麺!実母そうめん!」
  51. ▷ Wed.3.Oct.2012 「イライラをミキサーにかけて」
  52. ▷ Wed.26.Sep.2012 「そうだ!10月5日金曜日は、梅田クアトロの『SUZUDAMA’12~鈴木魂~ 新座長襲名公演』へ行こう!!」
  53. ▷ Wed.19.Sep.2012 「ランゲージとカルチャー」
  54. ▷ Sat.15.Sep.2012 「モテてんじゃねぇよ!モノ珍しがられてんだよ!」