文 : 鈴木淳史
Wed.8.Jan.2014
第1回目で映画モテキについて暑苦しく語ったわけですが、元日に地上波ノーカットで放送されて、またもや語りたくなったので記します。
おせちを食べながら、のんびり観ているとオカン玲子(66)がひとこと放つ。
「モテキの”モテ”は、弄ばれるの”モテ”よね」
「も・て・あ・そ・ば・れ・る…」、「もてあそばれる」と思わずクリステルばりに一礼しそうになったが、この言葉はかなりの衝撃的解釈だった。
第1回目で、僕は本当にモテてきた人には「モテキ」なんてのものは存在しないし、我々みたいにモテない人間がモテるから「モテキ」なわけだが、別にモテてるわけでなく、モノ珍しがられているだけなので、「モノキ」だ!…などと、今から思えば本当に面倒臭く、或る意味、自己弁護をした解釈をしている。
まぁ、要は逃げた解釈…、ずばり弄ばれるの「モテキ」で間違いないでしょう。
昨秋、大根仁監督が新作「恋の渦」キャンペーンで関西に来られた時、合間ご一緒させてもらった。その時に、幸世にフラれたるみこが墨さんと鮨からホテルINの話になったのだが、こちとら完全に墨さんがるみこを軽くナンパしたものだと思い込んでいたわけだが、真相を聞かされて仰天する。
「るみこから墨さんを誘ったんだよ」
そうなると全然話は違ってくる。文系おじさんは優しいから、呼ばれたら全力で優しくもてなす。映画でもさっさと立ち直ったるみこは朝ごはんもせず、さっさと部屋を出ている。これも、一種の弄びか…。
「恋の渦」でも感じた事だが、大根監督が凄いなと想うのは、女性のあけすけな部分を描く事。もちろんドラマ「モテキ」でもそうだし、特に映画「モテキ」でのみゆきの描き方が秀逸であったが、何でもない可愛い普通のサブカル女子が実はとんでもなく計算高く心ないビッチである事を明確に描いてしまう。
幸世の友人島田が焼肉を食べながら、幸世と連絡取ってる時以外は他の男とヤリまくってると想えと力説するシーンがある。心ないからこそ、誘えば呑気に出てくるし、メールも普通に返してくる…、ただそれだけだから喜ぶのはバカだと。
クライマックスの雨のシーン、幸世とみゆきとみゆきの恋人で妻帯者の山下の心理がそれぞれ描写されるのだが、みゆきは山下への不倫疲れで隙間遊びとして幸世とちょっと遊んだだけ。山下もみゆきと軽く楽しんでいたが、隙間男が現れると慌てる。そんな山下に嫌気をさしながらも、しつこくすがってくる隙間男にもへきえきしているという最悪な泥沼状態。
まぁ、結果的には隙間男として幸世は放り出されるわけであり、普通に可愛いサブカル女子は清楚だという幻想も崩れ落ちる…、つまりは単なるビッチだったという事。
女子のズルさをここまで描く監督はいないのではと想うし、清楚に見える何でもない普通の可愛い女子こそビッチであり、気を付けなはれや!…という事である。
来月2日で36歳年男のボクだが、まだまだstruggle真っ最中、今年も何でも無い事で、あーだこーだ言いまくりたいものだ。
おあとがよろしいようで。