文 : amazarashi 秋田ひろむ
HP
http://www.amazarashi.com/初回限定盤
[DVD・文庫本ブックレット付]
通常版
amazarashi
「あんたへ」
Tue.18.Feb.2014
amazarashi年始からのツアー「あんたへ」も終了し、気付けばもう二月も半ば。バタバタした年明けであったので中々ゲームする暇もなく、このゲーム再考を更新する余裕もなく、僕は申し訳なく思っているのだが、そもそも誰にも望まれていないこのコラムを大事な本業のツアーの最中に律儀に更新しようものなら、amazarashiリスナーからひんしゅくを買いかねないので、これはこれで丁度いい更新ペースなのではないか、と思っているのだが、それはそれで寂しい気もする。
2014年一発目のテーマは“私的ゲームオブザイヤー2013”にしようと決めていたのだが、もう2月になってしまい今更感があるので、さくっと書いてしまう。2013年の個人的ベスト5だ。
1位 The Last of Us
2位 Grand Theft Auto V
3位 FTL:Faster Than Light
4位 Bioshock Infinite
5位 FINAL FANTASY XIV
1位の「The Last of Us」と2位の「Grand Theft Auto V」は以前も書いたが、やはり完成度の高さと没入感はずば抜けていた。潤沢な資本の上に成り立つ総合芸術という意味合いでは、ゲーム界のハリウッド映画とも言える様な貫禄だ。4位の「Bioshock Infinite」も同じ様な流れだが、一本道的なリニア感が垣間見えてしまったのが残念。「The Last of Us」だって一本道だったが、自分が能動的に道を選んでいると思わせるストーリーテリングは、「The Last of Us」の方が一枚上手だった。
この隙のないゲーム達の系譜は、暫くの間ゲーム界のメインカルチャーとして君臨するだろう。構造や技術を徹底的に研究されて、第二の「The Last of Us」や「GTA5」が出てくるはずだ。
だが、そこに対してのカウンターカルチャーがなくては面白くない。メインストリームは安心感をもたらすが、それは退屈と紙一重だ。
そういう意味で3位の「FTL:Faster Than Light」はインディーゲームからのカウンターと言える。低予算、シンプルな2Dグラフィック、シンプルなルール、だが膨大なリプレイ性。予算がないならアイデアで勝負だと言わんばかりの意欲作だ。無駄な部分を削ぎ落さざるをえなかった結果、“ゲーム性”というとても曖昧な概念が宝石の様に輝いて、明確に存在する。
何百年と遊ばれ続ける将棋やチェス、トランプといった古典的なゲームに並ぶような、ある種の発明だとすら感じさせる。
この様なインディーゲームは増えていて、レトロゲーム回帰がブームのようになっている。ドット絵の横スクロールアクションやRPGがただのノスタルジーとしてではなく、純粋に楽しさを求めるゲームファンに支持されているという所が面白い。日本発の「洞窟物語」や「LA-MULANA」が同じ土俵で評価されているのも嬉しい。これからのゲームシーンは間違いなくインディーから盛り上がるだろう。
5位の「FINAL FANTASY XIV」は面白かった。日本産のMMOは中々日の目を見ないが、そこはFFのネームバリュー。さすがだ。役割が過剰な程分担されている戦闘システムと、攻略に頭を悩ませ、MO的な協力を必要とするダンジョンはやり応えがあった。退屈なお使いクエストはちょっと頂けないが、広大な世界の冒険に僕が胸を躍らせたのは確かだし、いつまでもエオルゼアを旅していたかった。
ただ一つ問題がある。僕には時間が足りないのだ。
と、2013年の個人的ランキングをここまで駆け足で書いたのだが、日本のコンシューマーゲームがない事に気付いたかもしれない。
書ききれなかったゲームが沢山あるのだ。モンスタハンター4は相変わらず面白かったし、FF10の移植も嬉しかった。メタルマックス4のWizardry的なアイテムハントも楽しかったし、地球防衛軍4のハック&スラッシュ加減も楽しかった。
間違いなく面白いという安心感で言えば日本のコンシューマーゲームは総じて高いレベルなのだが、ひとえに驚きという点では海外ゲームに軍配が上がってしまった。
だがしかし、今年僕らには「ダークソウル2」があるじゃないか。そして松野泰己氏が携わるタクティカルRPG「Unsung Story: Tale of the Guardians」がKickStarterで行われていたクラウドファンディング成功とのニュース。日本の尖ったクリエイター達の逆襲に期待する。
最上級の興奮を得る代償は、安心感を捨てる事だ。