文 : amazarashi 秋田ひろむ

amazarashi

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amazarashiは秋田ひろむを中心としたバンド。
2010年のデビュー以来、一切本人のメディア露出のないながらも、絶望の中から希望を見出すズバ抜けて強烈な詩世界が口コミになり、またたく間にリリースされた6枚のアルバム全てがロングセールスを続けている。

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  1. あんたへ

    初回限定盤
    [DVD・文庫本ブックレット付]


    あんたへ

    通常版

    amazarashi
    「あんたへ」

    2013/11/20 発売
    初回限定生産盤 ¥2,100 (TAX IN) CD+特典DVD+文庫本ブックレット
    通常盤 ¥1,800 (TAX IN)

    1. 1.まえがき
    2. 2.あんたへ
    3. 3.匿名希望
    4. 4.冷凍睡眠
    5. 5.ドブネズミ
    6. 6.終わりで始まり
    7. 7.あとがき

Tue.18.Feb.2014

私的ゲームオブザイヤー2013

 amazarashi年始からのツアー「あんたへ」も終了し、気付けばもう二月も半ば。バタバタした年明けであったので中々ゲームする暇もなく、このゲーム再考を更新する余裕もなく、僕は申し訳なく思っているのだが、そもそも誰にも望まれていないこのコラムを大事な本業のツアーの最中に律儀に更新しようものなら、amazarashiリスナーからひんしゅくを買いかねないので、これはこれで丁度いい更新ペースなのではないか、と思っているのだが、それはそれで寂しい気もする。

 2014年一発目のテーマは“私的ゲームオブザイヤー2013”にしようと決めていたのだが、もう2月になってしまい今更感があるので、さくっと書いてしまう。2013年の個人的ベスト5だ。

1位 The Last of Us
1

2位 Grand Theft Auto V
2

3位 FTL:Faster Than Light
3

4位 Bioshock Infinite
4

5位 FINAL FANTASY XIV
5

 1位の「The Last of Us」と2位の「Grand Theft Auto V」は以前も書いたが、やはり完成度の高さと没入感はずば抜けていた。潤沢な資本の上に成り立つ総合芸術という意味合いでは、ゲーム界のハリウッド映画とも言える様な貫禄だ。4位の「Bioshock Infinite」も同じ様な流れだが、一本道的なリニア感が垣間見えてしまったのが残念。「The Last of Us」だって一本道だったが、自分が能動的に道を選んでいると思わせるストーリーテリングは、「The Last of Us」の方が一枚上手だった。
 この隙のないゲーム達の系譜は、暫くの間ゲーム界のメインカルチャーとして君臨するだろう。構造や技術を徹底的に研究されて、第二の「The Last of Us」や「GTA5」が出てくるはずだ。

 だが、そこに対してのカウンターカルチャーがなくては面白くない。メインストリームは安心感をもたらすが、それは退屈と紙一重だ。

 そういう意味で3位の「FTL:Faster Than Light」はインディーゲームからのカウンターと言える。低予算、シンプルな2Dグラフィック、シンプルなルール、だが膨大なリプレイ性。予算がないならアイデアで勝負だと言わんばかりの意欲作だ。無駄な部分を削ぎ落さざるをえなかった結果、“ゲーム性”というとても曖昧な概念が宝石の様に輝いて、明確に存在する。
 何百年と遊ばれ続ける将棋やチェス、トランプといった古典的なゲームに並ぶような、ある種の発明だとすら感じさせる。

 この様なインディーゲームは増えていて、レトロゲーム回帰がブームのようになっている。ドット絵の横スクロールアクションやRPGがただのノスタルジーとしてではなく、純粋に楽しさを求めるゲームファンに支持されているという所が面白い。日本発の「洞窟物語」や「LA-MULANA」が同じ土俵で評価されているのも嬉しい。これからのゲームシーンは間違いなくインディーから盛り上がるだろう。

 5位の「FINAL FANTASY XIV」は面白かった。日本産のMMOは中々日の目を見ないが、そこはFFのネームバリュー。さすがだ。役割が過剰な程分担されている戦闘システムと、攻略に頭を悩ませ、MO的な協力を必要とするダンジョンはやり応えがあった。退屈なお使いクエストはちょっと頂けないが、広大な世界の冒険に僕が胸を躍らせたのは確かだし、いつまでもエオルゼアを旅していたかった。
 ただ一つ問題がある。僕には時間が足りないのだ。

 と、2013年の個人的ランキングをここまで駆け足で書いたのだが、日本のコンシューマーゲームがない事に気付いたかもしれない。
 書ききれなかったゲームが沢山あるのだ。モンスタハンター4は相変わらず面白かったし、FF10の移植も嬉しかった。メタルマックス4のWizardry的なアイテムハントも楽しかったし、地球防衛軍4のハック&スラッシュ加減も楽しかった。
 間違いなく面白いという安心感で言えば日本のコンシューマーゲームは総じて高いレベルなのだが、ひとえに驚きという点では海外ゲームに軍配が上がってしまった。

 だがしかし、今年僕らには「ダークソウル2」があるじゃないか。そして松野泰己氏が携わるタクティカルRPG「Unsung Story: Tale of the Guardians」がKickStarterで行われていたクラウドファンディング成功とのニュース。日本の尖ったクリエイター達の逆襲に期待する。

 最上級の興奮を得る代償は、安心感を捨てる事だ。