文 : amazarashi 秋田ひろむ

amazarashi

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amazarashiは秋田ひろむを中心としたバンド。
2010年のデビュー以来、一切本人のメディア露出のないながらも、絶望の中から希望を見出すズバ抜けて強烈な詩世界が口コミになり、またたく間にリリースされた6枚のアルバム全てがロングセールスを続けている。

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  1. あんたへ

    初回限定盤
    [DVD・文庫本ブックレット付]


    あんたへ

    通常版

    amazarashi
    「あんたへ」

    2013/11/20 発売
    初回限定生産盤 ¥2,100 (TAX IN) CD+特典DVD+文庫本ブックレット
    通常盤 ¥1,800 (TAX IN)

    1. 1.まえがき
    2. 2.あんたへ
    3. 3.匿名希望
    4. 4.冷凍睡眠
    5. 5.ドブネズミ
    6. 6.終わりで始まり
    7. 7.あとがき

Mon.3.Dec.2012

レベル上げをしながらじゃなきゃ眠れない

 活字中毒を名乗る人がよく言う「本を読みながらじゃなきゃ眠れない」が実際に存在するならば、僕が常日頃から心の中だけで提唱している「レベル上げをしながらじゃなきゃ眠れない」という症状を持つ“ゲーム中毒”もいよいよ信憑性を持つのではないだろうか。もっぱら最近ではドラゴンクエストXで延々と眠くなるまで戦闘を繰り返し、脳内ににじみ出るアドレナリンに恍惚としながら僕は思う。
 amazarashiというまだまだ無名なロックバンドで細々と生計を立てている僕だが、その音楽活動には少なからず人生をかけて来たつもりだ。だが、それと同じくらいの重さを持ってゲームにも情熱を傾けてきた事は偽りようがない。この連載はそんな僕、amazarashi秋田が押さえきれないゲームリビドーをむき出しに、お酒を飲みつつ、読み手を無視して、ストレス発散がてらに書きなぐったものである。

10月にやったゲーム

Kingdoms of Amalur: Reckoning

 オープンワールドRPGとハックアンドスラッシュRPGの融合。僕はskyrimをプレイした時に思ったものだ「この世界観で戦闘が面白かったなら」と。そして、diablo2をプレイしながら思っていたのだ「このシステムで広大な世界を冒険できたなら」と。誰もが期待するが中々なし得ないコンセプトをこのRPGはやり遂げた。似た様なコンセプトを持つゲームだとCAPCOMのDragon’s Dogmaが記憶に新しいが、それとの相違はやはりトレジャーハント、diabloを祖とする、ランダムに生成される膨大なアイテム群を飽くまで探し求められるトレハン要素だろう。自由なキャラクター成長、おなじみのスキルツリー、全てはやり尽せない膨大なクエストはただのお使いでは終わらない。いちいちテキストが面白いのだ。まさにこれこそが夢のRPGなのだ、と言い切りたいのだが、期待はずれだった部分も少しばかりある。
 オープンワールドとトレハン要素の親和性の問題だ。トレハンゲームは、一つの拠点から冒険に出掛け、戦闘を繰り返し、また身支度を整える為に拠点に戻る、というサイクルを繰り返すのがセオリーになっていたし、そのある種の単純作業がトレハンに没頭する要因でもあったが、広大な世界で街から街へと旅するオープンワールドでは、その退屈さが無くなった事によりトレハンの“らしさ”がスポイルされている気がする。トレハン中毒者が同じ作業を繰り返してしまう自身を、ハムスターが回し車を延々走り続けるさまに例えて“ハムハムする”と自嘲気味に口にするように、端から見れば馬鹿馬鹿しい単純作業にも一定数の支持者が確実に存在するし、僕自身それを望んでいたのだが、この作品は当てはまらないようだ。ニッチな要望であるのは自覚しているので、「別のゲームをやれ」という一言ですんでしまうのだが。


円卓の生徒 The Eternal Legend

 wizardryライクゲーム。僕は開発元のエクスペリエンスがPS2で発売したwizardry XTHからのファンだが(元はマイケルソフトの開発チーム、チームムラマサ)、今回も堅実なまぎれもないwizだ。PC版、xbox360版が既に発売されていたようだが、僕は今回発売されたPSP版をプレイした。相変わらずのアニメファン層を意識した絵柄ではあるし、今回はキャラクターメイクがなく、固定キャラクターで一本道のストーリーを進むのだが、プレイ感は全くの硬派なwizardryで、ムラマサを探して迷宮をさまよった昔からのファンにも大手を振ってお勧めできる。今回はレアアイテム“大村正”を上回る“神村正”が用意されているようだが、これを聞いてワクワク出来る人は絶対に買うべきだ。携帯機とやり込み系RPGの相性は抜群だ。空き時間にちょこちょこプレイ出来るし、長い付き合いになりそうだ。


Battlefield 3

 2011年11月2日に発売された本ソフトだが、当時僕は同時期に発売されたCOD MW3を買ってしまった。CODが名作なのは今更言う事ではないだろうが、このバトルフィールド3を今更プレイして、ああこれも凄いゲームだったのだな、と2011年年末の神憑ったゲームラッシュに想いを馳せるのである。
 まず驚いたのは臨場感。耳元で跳弾する音、それに歪む視界、建物内に反響する爆発音、迫り来る戦車のキャタピラーが軋む音。絶体絶命のシーンに自分の息切れだけが耳にうるさい。死んでばかりでチームに迷惑をかけている僕に飛んでくる叱咤のメールまでもが、 まるで実際の戦場の追体験だ。これだけのゲームを発売当時特有の賑わったオンラインで遊べなかったのが悔やまれる。次回作は発売日に買おうと心に誓った。

 とまあ、ここまで書いたのだが、何はともあれ今はドラクエだ。僕のキャラクター「あきーた」はレベル47、ごつい紫色の鎧を纏ったプクリポの勇ましい戦士だ。

DVD制作で忙しく、中々オンラインに入れず久々のログインに心を踊らせていたのだが、ふと、画面に現れる黄色いエラーの文字。その中の一文にある「アカウントハック」の文字に動悸が高まる。まさか、まさか、と指示通りにパスワードを変えログインしてみると、そこには酒場で丸裸のあきーたが。
そう、アカウントハックされました。装備もお金も、貯金も、全部盗まれました。唯一のフレンドまさのり(仮名、十四歳)と必死にアルミラージを倒して手に入れたレアアイテムうさぎのおまもりも、ひらめきの指輪も、全部盗まれました。
 もうやめよう。さすがにこれまでの労力が無駄になるのは辛い。唯一のフレンドまさのり(仮名、十四歳)も最近はログインしていなかったし、もうドラクエを続ける理由はないのだ。だが、ひとつだけ心残りがある。僕はまだこの世界を救っていないのだ。
 あきーたは魔法使いレベル1として生まれ変わり、オルフェアの大地にまた一歩踏み出す。裸で。

 とりあえず鉱石マラソン行ってきます。

amazarashi 秋田ひろむ