文 : amazarashi 秋田ひろむ

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amazarashiは秋田ひろむを中心としたバンド。
2010年のデビュー以来、一切本人のメディア露出のないながらも、絶望の中から希望を見出すズバ抜けて強烈な詩世界が口コミになり、またたく間にリリースされた6枚のアルバム全てがロングセールスを続けている。

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Thu.10.Jan.2013

箱庭療法

 箱庭療法という言葉をご存知だろうか。心理療法の一つで、患者が箱の中に自由におもちゃを並べ、その配置から患者の深層心理を探るものらしいのだが、僕は「とびだせ どうぶつの森」を遊んでいるとこの言葉をどうしても思い浮かべてしまう。

 「とびだせ どうぶつの森」は空前のヒットのようだ。DS「おいでよ どうぶつの森」からのファンで、Wii版「街へいこうよ どうぶつの森」をむさぼるように遊んだ僕としてはどうしても邪推してしまうのだが、この世知辛い現代社会において、摩耗した現代人の心を癒すアイテムとして「どうぶつの森」は機能しているのではないか。それこそ“箱庭療法”として。

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 日本において箱庭ゲーがメインストリームに上がったのはSFCの「シムシティー」を代表とするsimシリーズ、「A列車でいこう」シリーズ等からだと思うのだが、それ以降はシミュレーションやストラテジー主体だった箱庭ゲームも多彩なジャンルに広がっていったように思う。アクションTPSゲームとしての「Grand Theft Auto」日本では「龍がごとく」「侍道」、RPGとしての「The Elder Scrolls」「Fallout」、FPSとしての「FAR CRY」エトセトラエトセトラ。
 様々な“箱庭”があるのだが、今回僕がお勧めしたい箱庭ゲーは昨年12月に発売された「ファンタジーライフ」3DSである。発売元レベルファイブ、開発元はブラウニーブラウンとハ・ン・ド、音楽は植松伸夫、イメージイラストは天野喜孝と、 それを聞くだけで古くからの和ゲーファンにとっては「おっ!?」と前傾姿勢になってしまうのだが、このそうそうたるメンツで出来上がったゲームが携帯コンソール向けのオープンワールドで、しかもシナリオチームにはあのMOTHERで糸井重里氏と一緒にテキストを担当した戸田昭吾氏がいて、レベルファイブの社長日野晃博氏が「ウルティマオンラインの様なゲームを目指している」と公に発言していたり……。
 もう頭がパンクしてしまいそうな程、僕のゲーマーアンテナをこれでもかと刺激してくるのだ。この喜びを説明するには何万文字を費やしても足らないだろうから、僕の想いを短めに羅列させて頂きたい。

ダーククロニクル

 レベルファイブ開発元のPS2での傑作「ダーククロニクル」。プレイする度にダンジョンのマップが変わるローグライクを意識したARPGなのだが、特徴的なのはダンジョンで手に入れたアイテムを使い、プレイヤーの手で自分だけの街を作れる事だ。そこで住民と会話を楽しんだり釣りをしたり、その魚をレースに出場させる為に育てたり、それこそ箱庭RPGの醍醐味を詰め込んだ作品だった。数百時間と遊んだ記憶がある。


聖剣伝説LEGEND OF MANA

 ブラウニーブラウンと言えば、スクウェアの「聖剣伝説LEGEND OF MANA」の開発スタッフが集結して出来た開発会社。美しかったり可愛らしかったりする2Dのグラフィック、ドット絵のファンは多いはずだ。僕もそうだ。言わずと知れたファイナルファンタジー外伝として始まった聖剣伝説シリーズ。この作品の特徴的な部分は、水彩画の様な美しい世界と“ランドメイクシステム”。始めは何もない世界に“アーティファクト”と呼ばれるオブジェクトを配置して自分だけの世界を構築していくのだ。これも箱庭と言っていいだろう。自分の物語を自分で選択するというゲームの原体験の様な作品だ。


MOTHER2

 MOTHERシリーズで僕が愛して止まないのはやはり「MOTHER2」だ。少年少女達のジュブナイル、子供が成長する瞬間の痛みや悲しみ、大人になった今、少年期を振り返って思わず吹き出してしまう様なユーモアと、ちょっと哲学的なテキスト。今の僕の脳みその10分の1はきっとMOTHERで出来ている。

ここまで書いてまだ物足りないのだが、これ以上は鬱陶しいだけなので止めておく。それだけ僕が期待していたという事だ。書きたいのは「ファンタジーライフ」についてだった。

ファンタジーライフ

 ここまでハードルを上げてしまうともの凄い大作かと思われてしまうかもしれないが、実際は綺麗にまとまった小粒の良作といった印象。二頭身のかわいらしい3Dキャラクターが見下ろし型の箱庭世界を冒険するアクションRPG。実際のクリアまでのボリュームはそんなに多くはないが、その他の寄り道要素こそこのゲームの本質だと思う。王国剣士、釣り人、裁縫師などの“ライフ”と呼ばれる職業が12種類あり、それぞれの役割やストーリーをこなし、“ファンタジール”と呼ばれる世界で生活していくのだ。プレイ難易度はそれ程高くなく、むしろ簡単すぎるくらいだが、絵柄やテレビCMを見る限りライトユーザーを取り込もうという意志がはっきりと見てとれるので、これはしょうがない。むしろこの辺は「二ノ国」や「イナズマイレブン」シリーズで幅広い年齢層を訴求対象とするレベルファイブの強みと言っていいだろう。その分世界観は淀みなく、前述したテキストの妙も相まって、居心地のいいファンタジー世界が構成されている。
 ただ、プレイしていて色んなゲームが頭をよぎり、既視感を禁じ得ないのだが、これもしょうがない。こういう「鉱石を採掘してから鍛冶屋になり武器を作ろうとしたが、素材が足りないので傭兵になり洞窟に素材を採取しに向かう道すがら、川に小さな魚影を見つけ釣りをしていたら、思いがけずレアな魚をゲットしたので気付いたら料理人になっていた」みたいな、“自由な生活してる感”を提示するゲームは絶対数が少ないので、大歓迎だ。どうせなら大工で家まで作らせて欲しかった。モンスターをテイムさせて欲しかった。街の住民とプレゼント交換したかった。

 と、すっかり年末年始は“ファンタジール”の世界の住人になってしまっていたのだが、ふと「どうぶつの森」を思い出し、2週間ぶりに森を尋ねてみた。

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 引っ越して居なくなるかつての友人、枯れて朽ちた花々、雑草だらけの森、今作はゴキブリが出ないだけましだな。箱庭療法で人の心理を読み取れるとはいうが、飽きっぽい僕の心理など推して知るべし、だ。

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