文 : amazarashi 秋田ひろむ
HP
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[DVD・文庫本ブックレット付]
通常版
amazarashi
「あんたへ」
Thu.16.May.2013
大作の続編がぞくぞくと発表されている。「グランド・セフト・オートⅤ」「バトルフィールド4」「コールオブデューティー:ゴースト」「ダークソウル2」。どれもワクワクしてとても待ちきれない。これは年末年始にかけて神ゲーラッシュが来るな。そうなったら僕はしばらく姿を消しますが探さないで下さい。と今からここに書いておく。関係者の皆さんよろしくお願いします。
最近のゲームは宣伝方法も面白い。謎のディザーサイトでカウントダウンとか、ツイッターでスクリーンショットを数枚だけ公開したりして、そこからファン達が「あの続編が出るんじゃないか?」なんて憶測を交わして盛り上がるのが通例になりつつある。
最近発表された「PSYCHO BREAK」の情報公開の仕方も面白かった。不気味な映像の公開から始まり、しかも公開したのがBethesda Softworksだった為「Fall Out」シリーズの新作ではないか、なんて噂もあがりファン(僕も含む)は色めき立った。結局蓋を開けて見ると、意外な事にバイオハザードのディレクター三上真司氏の新作サバイバルホラーだったのだが、おぞましい映像と、その世界観のクオリティーの高さは、あまりホラーゲームに興味のない僕の記憶にもしっかりと爪痕を残した。
そんな風にweb上での宣伝も手が込んできている様なので、そこも含めてエンターテイメントとして注目するのもゲームファンとして一興なのではないか。
そんな新作、大作、制作費数億円!のゲームも待ち遠しいのは確かだが、たまには古いゲームを棚から引っ張りだして遊んでみるのも一興だ。例えば僕の愛するゲームハード「ゲームボーイミクロ」なんかは今プレイしても楽しいものだ。
なんと言っても可愛いし。画面が小さい分ドットがぎゅっと詰まっていて色鮮やかだ。
ソフトも名作揃いだし、なんと言っても今買うと安い。ちょっと街中で暇を持て余した時、中古ゲーム屋さんなんかよって山積みのソフトの中から隠れた名作を探すのが、僕の最近の密やかな楽しみである。
先客が居たりしてね。その人が腰を下ろしてソフトを凝視なんかしてたら、変な仲間意識を持っちゃったりしてね。その人が手に取ったソフトを覗き見て「ほほーそれを選びますかー。なかなか通ですねー」なんて思ったりしてね。そいうのも含めて一興なのだ。
お勧めしたいソフトはいっぱいあるのだが、まず何と言っても「ファイナルファンタジー」シリーズのリメイクは外せない。特にFFⅤは秀逸だった。まずテンポがいい。戦闘のテキストを飛ばすのも早いし、歩行速度も確か4倍。クリア後のダンジョンも追加されていた。こういうドット絵の書き込みが美しいゲームに「ゲームボーイミクロ」は向いているのだ。
後忘れてはならないのは「MOTHER1+2」。マザーシリーズの二作が一つのカートリッジに納められたリメイクソフトだ。僕がマザーシリーズをどれだけ愛しているかは以前書いたが、その内二本を持ち歩いて外出先で遊べるというだけで素晴らしい。「1」の方は元々ファミコンソフトなので今やると厳しいバランスだが、マザーシリーズのテキストの奥深さは今になっても色あせない。「3」もゲームボーイアドバンスのソフトなのでこれもお勧めだ。ただし「1+2」をクリアしてからプレイする事をお勧めする。
と、ここまで書いて思ったのだが、古いゲームを買って楽しむ場合、一つ気をつけなければならない事がある。それは“プレミアソフト”の存在だ。上記のFFⅤにしろMOTHER1+2にしろ、人気のある古いゲームにはプレミアがつき、新品の場合二万円程、箱付き説明書付き中古で五千円程(正規価格程度)する。ちょっと高いのだが諦めるのはまだ早い。箱無しの裸ソフトなら千円台、百円台で買える場合もある。狙い目は個人経営の中古ゲーム屋、リサイクルショップにある小さなゲームコーナーなんかも穴場だ。そんな風にソフトを探し歩くのもゲーマーとしてはまた一興なのだ。
この“プレミアソフト”という言葉、どうも男特有の収集癖をくすぐるもので、男性なら身に覚えがある方も多いと思うが、幼少の頃からビックリマンチョコのシールを集めたり、ガンダムのプラモを集めたり、ワンピースのフィギュアを集めたり、世代によって様々あるだろうが男にとっては避けて通れない通過儀礼の様なものなのだ。そういう収集癖をくすぐる“プレミアソフト”をもうちょっとだけ紹介したい。
プレイステーションのソフトなんかが今は狙い目だ。ちょっと大きい中古ゲーム屋さんに行くと大量のプレステソフトを目にする事も多いが、プレイステーションの次世代機が発表された今現在となっては、在庫がみるみる減ってゆく事は予想にたやすい。また、ネット通販が隆盛になりつつある昨今では、ネット通販と店舗販売の価格の差にも注目するべきだ。ネット通販をする時はweb上でだけの情報を元に買い物をしがちだが、今でも根気よく探せばネット情報に左右されない、イノセントな、希有なゲーム屋は存在する。ネットで見て「これは高過ぎて手が出ないな」なんて思っても、足を使う事で安く手に入れるチャンスはあるのだ。
そういう風にして僕が手に入れたソフトは「夕闇通り探検隊」と「ドラゴンクエストモンスターズ1・2」だ。
これらのソフト、多少のプレミアはついているが今ならギリギリ手が出せる、という現在かなり美味しいソフトだ。この先値段は上がって行くだろうが、今なら、中古なら、足を使えば、それなりの値段で買える。
しかし一番問題なのは面白いかどうかなのだ。ゲームなのだから、ただのコレクターズアイテムとしての希少価値なんかより、プレミア価格を払ってまで遊ぶ価値があるかどうかが重要なのだ。
その点でもこの二つのソフトは期待を裏切らないので大丈夫。
「ドラゴンクエストモンスターズ1・2」は名作と名高いゲームボーイ版のリメイクで、そのモンスター育成の中毒性には定評があるし、「夕闇通り探検隊」は知名度こそ低いものの、そのストーリーとボリューム感と、少年少女時代のノスタルジーをはらんだ切ない世界観と独特のゲーム性をもってして知る人ぞ知る名作として名高い。悲しすぎる衝撃のラストも、大枚はたいて見る価値はあるのだ。
そして僕が今一番欲しい“プレミアソフト”はパソコンゲームの「wizardry8日本語版」である。五月十日現在、amazonでの新品の価格では九十八万円である。中古価格で三万四千円だ。馬鹿みたいな値段で笑いが出て来るが、そこにはゲームを愛する人間の執着心が見えて、なんだか嬉しくなってしまう自分もいる。いつかはこういった“プレミアソフト”を遊び尽くしたいものである。
ここまで書いて、たかだか古いゲームソフトにそんな金出せるか、と思う人もいるだろうが、古いゲームにはゲームとしての価値ともう一つ、付加価値がつく事を知って頂きたい。それはノスタルジーだ。
僕らは幼い頃の思い出を買っているのである。放課後友達の家に集まって、ゲームで対戦したり、協力してラスボスを倒したり、ドラクエのレベル上げを後ろから見ているだけでもワクワクしたあの日の残像を大人になった今探し求めているのだ。今となっては忘れがちなあの日の気持ちと出会うのも、ゲーマーとして、また一興なのだ。
デスピサロやエクスデスといった強大な魔王を打ち倒した冒険者達よ、ロンダルキアへの洞窟で倒れ、レベル5デスで全滅して、それでも挑戦する事を諦めなかった勇者達よ、あの日の不屈の精神を忘れてはいないか?