お元気ですか?
私たちは、とても元気です。
春のツアーを終えた私たち。
ツアーで一回り大きくなるとか強くなるとかほんとにあるのかなあ?と疑心暗鬼な私でしたが、いま女王蜂は確実にイケイケのライヴが出来る状態にあります。
各地であったドラマチックな一夜が私たちを成長させてくれました。
私たちは、セーラームーンが新しいコスチュームへとグレードアップするときのように、変化を遂げます。
ヴィーナスから、孫悟空。
そしてキョンシー。
なんでもありやな!
その無双状態にターボを、火に油を注ぐ作品として
七月二十二日、新作EP「失神」をリリースさせて頂きます。
もういくつか取材を受けましたが、重ねて言いたいことがあって。
インタビュアーがいないのにあまり語るのもね、野暮かな、なんて思うのですけれど、ひとつだけ。
新作EP「失神」の五曲目に「空中戦」と言う楽曲が収録されます。
この曲は、ほんとに私のなかで大事で大事で仕方がない曲で、今回リリース出来ることを心から喜んでいる私がいるのです。
自分の曲に対しては博愛主義なのですが、すこし贔屓してしまいますが、
基本的に先入観って邪魔だと思うので、いままで「これはこーゆー曲でね」と言うよりも、書くことに至った経緯やったり育ちだったりを話すだけで、あとはご自由に唄うなり踊るなりどうぞお気の済むまま♡と思ってきました。
そして、それはいまでも思っています。
でも、この空中戦だけは、話したいことがあるな、と思って。
私、初めて歌詞で、愛してるって使ったんです
とても覚悟の要る言葉で、私には何度も使えるものではないな、と思いました
それを今回、結成して六年、デビューして四年生の私が使おうと思ったのは、
女王蜂には、ギギちゃんと言うギタリストがいて
すごく素敵なギターを弾く子で、もっと言えばギターで人を変えてしまえるんじゃないかってくらい
アルバム「奇麗」以前にいままで出した三枚の音源、
「魔女狩り」「孔雀」「蛇姫様」
この三枚に深く渦巻いているひりつきだったり、言葉に出来ない戦慄、そして当時のライヴにあった謎の破壊力はあの子が持ってきてくれていたのかもしれないってくらい、凄まじいギタリストでした
上手かったかどうかはいまでも判らないけれど、あそこまで業の深いギターを弾けるひととはもうお会い出来ないといまでも思います
三年前の梅雨入りまえ、脱退が決まって、そのあと三週間で単独公演、哀しむ時間も全くなくて
心に封をして、時間だけが過ぎたけれど、思い出、とすら呼べなくて
なのでギギちゃんって名前、インタビューでも言えなくてあの子、前のギターの子って言い続けたままでここまでやってきました
具体的にギギちゃんの話が出来るまで、三年かかったのです
いまコラムとしてこの話が出来ていること自体に、私はすこしの感動を覚えているのだけれど
ギギちゃんが脱退したあと、やしちゃんも脱退する、と言った話になって私たちは一年の活動休止を頂きました。
ひばりくんと出会って、やしちゃんとはまたもう一度ステージに立てることになって、ルリちゃんにもギアが入って、ドラマチックな活動再開をしてから早一年と半年。
超絶好調!ないま、三年かかって別れてゆくメンバーに手向けた曲をリリース出来るところにやっと来ました。
空中戦と言う曲です。
この曲によってライヴハウスはダンスフロアと化すと思うけれど、私は、私はひたすらに噛み締めて唄おうと思います。
やー!もー踊るしか残されてないよなあと思わせる情景を再現、再構築してみたい。
レコーディングに入るまえ、私はこの曲を失神に収録するのかを迷ってしまって。
迷うのは案外珍しいんです、私。
答えなんて九割九分九厘自分のなかで決まっているから、相談するのもちゃうしなあと思いつつも、、お話したい方がいて。
初めて脱退時の心境をメンバー以外にお話しました。
私はそのひとのことを大袈裟に言わずともヒーローだと思っていて。
そのひとの書いたある一曲が、私はとても好きで泣いてしまうくらい、歌詞も情景も素晴らしくて。
脱退劇、と言うと簡単ですけれど、人生は劇ではないし、どんな泥試合にだってレフェリーは来ないので、総てはどこでどう切り上げるかだと思うのです。
哀しんでいても、夜は去って朝来たる!の無限ループ、私たちは着実に毎秒死んでいるのだから、、と、り、ま、やるっきゃない!が常です。
けれどその方とお話した内容が、けして明るいことでも書けることでもないけれど私のなかで起動して、結果、失神に収録することとなりました。
EPに入れることを決意したはいいものの、極力一曲に時間はかけたくない私にとって、収録中は波乱でした。
唄っていると涙が止まらない、眼を開けているのに閉じているかのようにブラックアウトして身動きひとつとれない、目前にあるマイクを通り越して譜面台に置いた歌詞に吸い込まれてしまうようで、二番の歌詞が唄えない。
ヘッドフォンから大丈夫ですか!?と心配の声は聞こえるけれど、どうしても返事が出来ない。
結果、歌入れに五時間ほどかかったと思います。
きっと最長です。
あんな経験はもうしたくない、でもあんな経験そうそう出来ることではないとも思い知る、貴重な時間でした。
そして、泣いてまで、ひとの言葉に背を押されてまでして、一聴なんの変哲もない美しいダンスミュージックを作れたことが、いまの女王蜂の無双さを提示していると思うのです。
お気に入りの作品となりました。
ぶっちぎりのダンスチューン「スリラ」も篠崎愛嬢と志磨遼平殿下を迎えたふたつの「売旬」も、デスコと同時期に出来ていた女王蜂幻の舞踏曲「ギラギラ」も、、全部素敵!
少し長くなってしまいましたね。
私がここまで語るなんて!
ちょっぴり恥ずかしいけれど、たまにはいいやんねー
失神、とても素晴らしい作品です。
神様を失う。
信じていたひとを信じながらも物理的に失ったあと、誰が取って代わったって塞がらないのかもしれない。
けれど、塞ぐことは出来ずとも生きてはゆけるし、超絶好調!にはなれることを、思い知れた制作でした。
ギギちゃんとひばりくん、タイプは違えど素晴らしいギタリストをいつも私は左にして唄っているなと、少しおセンチになってみたりね!
制作の背景を明かしましたが、基本的にブルガリ(やしちゃん)とシャネル(私とルリちゃん)とジバンシィ(ひばりくん)の香りが抜群の調和を保って漂うお昼過ぎのレコーディング現場から生まれた作品ですので、首尾一貫して美しいです。
失神、とても素晴らしい作品です。
きっと、あなたの夏を彩ること請け合い。
パッケージと歌詞カードも、随分とすごいので、、お楽しみに!
ではまた
ライヴハウス、フェスのステージで
XOXO