徒然ウィード
藪下

薮下晃正

1965年 福島県出身。
ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ A&Rルーム3チーフプロデューサーらしい。

TSUREZURE WEEDVOL.06

来年、久々にDJやります!しかし酷いフライヤーだな、これ(笑)。
メンツは三宿Kong Tongの店長福田を筆頭にリトルテンポのBig Birdこと白水、サイレントポエツの下田くん、zelone recordsの藤原くん、そして幻のザ・クラッシュ日本公演のドキュメント写真集『ザ・クラッシュ1982ジャパン』で知られる我等が大先輩、カメラマンの菊池昇さん!
西麻布クラブジャマイカのクロージングで開催された、昇さんプレゼンツの「SHO-CEANS TWELVE」のメンツによる続編イベント『ROOTS LOVERS』 第2回目!大人の為の濃ゆくてスモーキーなレゲエナイト、お暇な方は是非!ちなみにこのダンスホール風コラージュの酷いフライヤー、白水作です(笑)

『ROOTS LOVERS』@Kong Tong


『ザ・クラッシュ1982ジャパン』菊池昇

先日、子供のオモチャに躓いて転倒(笑)。膝を強打し腱をかなり痛め池尻の大橋病院へ。待合室にて水道橋博士の新刊『藝人春秋』読了。これ相当ヤバい!『お笑い男の星座』を始め元々水道橋博士って対象に対する緻密な観察眼、その同性愛にすら近い憧憬の熱量、ハンパないんだけど、今回はまた一段とその舌鋒が興に乗ってる気がする。ここで活写されるのは、そのまんま東、石倉三郎、草野仁、古館伊知郎、三又又三、堀江貴史、湯浅卓、苫米地英人、テリー伊藤、ポール牧、甲本ヒロト、爆笑問題、稲川淳二、松本人志、北野武の15名。凄いメンツです(笑)。特に同じ音楽業界人としては博士の中学時代の同級生でもある甲本ヒロトの発言、決してブレることのないロッカーとしての決意、ある種の悟りのようなものにかなりグッと来てしまった。「そん時は必ずおまえ十四才にしてやるぜ!」、そんな音楽をいつまでも作り続けていきたいものです。そして個人的に僕は北野武の、島田洋七とか談志なんかとの友情話が大好きで、本書でも石倉三郎の章、マジで泣きそうになりました。「辛抱ってのは我慢じゃなくて辛いを抱くってことだ」って…石倉三郎かっこ良すぎます(泣)。『ロックフェラーセンター売ります、買います』(笑)、湯浅卓、苫米地英人の二人に代表される箆棒な人たち、あまりにも胡散臭すぎます(笑)。さらにもはや芸人云々ですらない稲川淳二の回、これが物凄い!そしてあとがきの中でのみ語られる児玉清との一期一会のガチンコエピソードに魂、鷲掴みにされること必至!読後には何故か涙か頬を伝っていることに気付く最高の一冊。

『藝人春秋』水道橋博士

オーチャードホールに行く前に何気なく立ち寄った渋谷のジュンク堂で、何と子供の頃、大好きだった『怪獣ウルトラ図鑑』が復刊されているのを見付けて即購入!幼稚園の時、「将来何になりたいですか?」という保母さんの質問に、他の子供たちは「パイロット!」とか「新幹線の運転士!」とか現実的に答える中、僕ひとり「怪獣!」と答え、凄く恥ずかしかったと母親から聞いたことがある(笑)。確かに当時の僕はそのくらい怪獣が大好きでした!ウルトラマンやウルトラセブンという正義の味方ではなくアナーキーな怪獣という存在そのものに魅了されていたのを覚えてる。怪獣が学校を壊してくれるのを何度も夢想したものです(笑)。最近、3歳の息子が猛烈に怪獣にハマっていて、それを口実にこの年にして怪獣のソフビや書籍、DVDがまた堂々と買えて、実はメチャメチャ嬉しい(笑)。復刊ドットコムと秋田書店のコラボレーション企画とのことでおそらくロットが少ないからなのかな?残念ながらお値段ちょい高めではあるものの、古書市場でもかなり高騰していたので、それでもかなり安く感じた。当時、皇室も購入したという大ベストセラー、昭和の怪人、怪獣博士と異名をとった名編集者・大伴昌司が手掛けた名著!僕はこの大伴昌司と言う人の影響、かなり受けてると思う。確か大学の頃に読んだ『OHの肖像 大伴昌司とその時代』という本がかなり面白くて、僕ら世代が影響を受けまくった昭和の少年誌の巻頭の図解グラビアを考案したり、ウルトラマンが地球で戦える時間を3分間に設定したのも大伴昌司と言われている。さらに当時の少年マガジンの表紙に横尾忠則を起用し、『巨人の星』のモノクロ表紙で物議を醸し、あの谷岡ヤスジを使った伝説の正月号の表紙は発禁の憂き目に(笑)。もはやうろ覚えではあるものの『OHの肖像~』によれば、確かかなり謎めいた人物で、家の玄関が二つあり、違うペンネームで別々の人間に扮して仕事をし、編集者に対しても別々の玄関で対応していたという徹底ぶり。他にも紫だか赤の鉛筆しか使わないとか、まあ今で言う変人ですね(笑)。でもこんな人じゃないと、妄想で怪獣のあんな細かい設定、偏執的解剖図なんて絶対に思いつかない(笑)。ウルトラセブンは一万メートル離れたところで針が落ちる音が聞こえるとか(笑)。当時「そんなんじゃうるさくてしょうがないじゃん」って子供なりに突っ込み入れてたけど(笑)。そして残念ながらこの『怪獣ウルトラ図鑑』がベストセラーになったことで、実はウルトラセブンの12話が永遠に欠番になってしまう。ちゃんと照らし合わせてないけど多分、この復刻版はそこを削除しての出版だと思う。大伴がここでスベル星人に貸与したニックネームが人権擁護的に物議を醸し、結果円谷プロが自粛し12話を封印するという大騒動に発展してしまう。細かくは触れないが興味がある人はネットとかで検索してみてください。しかし、そのことによってこの本の魅力が損なわれた訳では決してなく、今だに僕にとって『怪獣ウルトラ図鑑』は十四才どころか何時だって幼稚園時代に戻してくれる、まさにSTAY GOLDな輝きを永遠に有していることを明言しておく。これを今、ソファーに座って息子と一緒に読む喜び、格別です(笑)。ちなみに今回、この連載書くにあたって調べてたら『OHの肖像~』がQJ初代編集長、「磯野家の謎」で知られる赤田祐一さんが飛鳥新社時代に編集されていたと言う事実を知り驚いた!何故か僕が影響を受けている書籍や雑誌にかなりの頻度で赤田さんが絡んでいる…。恐るべし赤田祐一。さらに昨夜青山ブックセンター本店で、タイムリーに『怪獣博士!大伴昌司「大図解」画報』が出版されていたのを見付けて驚いた。
(つづく)

『怪獣ウルトラ図鑑』(復刻版)


『OHの肖像 大伴昌司とその時代』


伝説の横尾忠則の手による少年マガジン表紙


怪獣博士!大伴昌司「大図解」画報

Mon.17.Dec.2012