徒然ウィード
藪下

薮下晃正

1965年 福島県出身。
ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ A&Rルーム3チーフプロデューサーらしい。

TSUREZURE WEEDVOL.01

※①『音楽の本の本』

徒然なるままNO推敲、NO検証にて書き殴る、つまり限りなくブログとかツィッターに近い乱暴な連載、始めさせて頂きます。
 
強いて言うならば音楽を感じさせる物、事を、音楽を感じさせる人との出会いからインスパイアーされてここに紹介するコーナーとでもいう感じかなぁ?RAW LIFEの濱田くんが編集長を務める雑誌「音盤時代」から派生した書籍に『音楽の本の本』(※①)っていうのがあって、広義な意味での音楽を感じさせる本、BECKじゃないけど言葉や絵では表わせない音楽というものを、それでも言葉にしようと格闘してる本、音と真摯に向き合った言葉を紹介してるユニークな読書ガイドなんだけど、このコーナーもそんなニュアンスに近いかな?つまり音楽のみならず、音楽そのものではないけど、音楽を感じさせる物とか事って沢山あるよね?それを徒然なるままにチェーン・スモーク感覚?パス・ザ・クッチ感覚で皆さんに廻していけたらと思ってます!さらに「音楽を感じさせる人との出会いから」ということで毎回、誰との出会い、対話からインスパイアーされたか、文章の枕に日記感覚で実名記させて頂きますね(笑)

※②「山下達郎“超”大特集」

というわけで記念すべき第一回はYOUTH RECORDSの庄司くんと参宮橋の品華亭で飲んでる時に教えてもらった、ぴあの「山下達郎“超”大特集」(※②)を紹介します。ナタリーの大山さんも最近これしか聞いてないと豪語する9月発売の山下達郎オールタイム・ベスト『OPUS』(※③)!最初あのジャケ、店頭で見た時まさかとりみきとは知らずに達郎も遂におじさん化か?と正直目眩がしました(爆笑)。しかしこれ初回盤と通常盤が同じ値段って解り難くねぇ?急いでてまんまと通常盤買っちゃって結局買い直しました…。そのプロモーションで今回、インタビュー等々、久々に達郎先生フル稼働してますね。しかし、元祖ルサンチマンというかオリジナル・オルタナティヴと言っても過言じゃない山下達郎のインタビュー、実は毎回、本当に面白いものが多く、以前QJに出た時のロング・インタビューも当時、ゆらゆら帝国の坂本さんに薦められて読んだ。坂本さんが達郎にえらく共感してたのを覚えてる。多分、渋谷系全盛時にほぼ同じような事を違うフェイズでやってただけなのに、全く相手にされなかったというゆらゆら帝国を、初期の異端としてのシュガーベイブとかの姿に重ねてたのかも?最新アルバム『Ray Of Hope』の時もTVブロスで我らが大根(仁)さんによるインタビュー記事がメチャメチャ面白くて、もはや都市伝説だった「達郎がイースタンユース好きらしい!」が実証されたのも記憶に新しいです(笑)。

※③『OPUS』

そして今回ベスト盤に合わせたぴあ「山下達郎“超”大特集」!このタイミングの取材、勿論ナタリーとかのインタビューも良いんだけど、何しろここで紹介するぴあの特集号はぶっちぎりで面白い!巻頭のロング・インタビュー、そして「山下達郎に100問突撃!100Q Returns」は普通に面白く、ソウル好きなTX五箇さんとも話題になったのは記事中で達郎がレコメンドしてたR.ケリーの新譜『ライト・ミー・バック』(※④)、店頭で試聴してスルーしてたのについ買っちゃいました。あとライノの『The Doo Wop Box』(※⑤)も今更ながらまんまとご購入(ちなみにこのBox、1948年から1987年までDoo Wopの名曲が編年史的に4枚組でコンパイルされていて、ウチの3歳の息子が大好きで何回も見てるピクサーのアニメ『カーズ』で使ってるThe Chordsの「SH-BOOM」って曲が1枚目に入ってて驚いた!)!しかしこの特集で何しろ出色なのは、巻末の能地祐子さんによる竹内まりやインタビュー!まさにこれを庄司くんが面白いって言ってて僕も買ってみたのだが、確かに凄いインタビューです。最近、40歳過ぎて子供も出来て何かと涙脆い僕はこのインタビュー読んで一人で泣いてしまいました(笑)。馴れ初めから現在まで、妻としてそして一番近い達郎ファン代表として丁寧に質問に答えてるその様は、もはや献身的を通り越してストィック!だって自身の活動について聞かれて「私の制作に関わるよりも、彼が毎年ツァーをやってくれたほうがいいな、と。私はまず第一に彼の音楽ファンですから。プロデュースやアレンジに時間を割くことが、彼の貴重な音楽人生を無駄にしているんじゃないかと思うこともある。」ですよ!結婚生活に関する質問に関しても、全く別々のインタビューなのに達郎、まりやの言うことがほぼ一枚岩で感動します、「何よりも二人は親友である」と。だってなかなか言えないですよ、「日本の音楽界にとって宝のような存在の彼を支えていく役割を、私が仰せつかっているんだという事を誇りに思ってます」「山下達郎のゴハンを作ることも広い意味での私の音楽活動」って(笑)。しかも同じミュージシャンなのに、「山下達郎のパフォーマンスをずっと見続けてきたがゆえに、ライヴから身を引きたいと思う私の気持ち…理解して頂けますよね」ってこの諦念、もはやハードコアです。山下達郎を山下達郎たらしめてるのは、実はカミサンこと竹内まりやなのかもしれませんねー、マジで。ちなみに竹内まりやが一番好きな達郎ソングは「PAPER DOLL」だそうです。

※④『ライト・ミー・バック』

※⑤『The Doo Wop Box』

最後に山下達郎オールタイム・ベスト『OPUS』、噂通りっていうかむしろそれ以上!リマスターの音源、本当に素晴らしかった!特に初期の曲なんてまるで録り直したんじゃないかって言うくらいの抜けの良さでした!
でも4枚組の初回盤買い直したにも関わらず、結局1枚目ばっかり聞いてる僕がいたりします(苦笑)。

Wed.14.Nov.2012